世界中に散らばる豊かな情報にインターネットからアクセスできるようになる

洋書を読めるようになることの最も大きな副次的メリットは、「世界中に散らばる豊かな情報にインターネットからアクセスできるようになる」ということです。いま「副次的」という言い方をしましたが、「副次的」という言葉自体がもはや不適切かもしれません。現在では、「洋書よりもむしろネット上の情報のほうが読みたい!」という人の数のほうが多い可能性もあります。

現代は、情報化社会、デジタル化社会であり、ありとあらゆる情報がインターネット上に無料で公開されています。各種の新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・動画、パブリックドメインやコピーレフトの著作物、国際組織や各国政府の公式文書や報告書・統計文書など、外国語が読めれば、文字通り大量の情報を手に入れることができます。

もちろん日本語の情報だけでもかなりのものなのですが、外国語の情報も読めるとより充実した情報が得られます。例えば、ウィキペディアの英語版日本語版の4倍以上の記事数がありますし、ドイツ語版も日本語版の1.5倍程度の記事数があります。また、言語によって同じ記事でも充実度がまったく違ったりしますので、ある記事については、日本語版ではほとんどまともな情報が得られないが、英語版やドイツ語版ではもっと充実した情報が得られることが少なからずあります(もちろん記事によっては日本語版のほうが充実している場合もあります)。

日本にも国会図書館のデジタルライブラリー青空文庫のような優れたパブリックドメイン・プロジェクトがありますが、世界的にはグーテンベルク・プロジェクトのようなプロジェクトがあり、外国語が読めれば世界のありとあらゆる古典文学を無料で楽しめます。

また、アラブやアフリカといった地域のニュースについては、日本のメディアではほとんど情報を得られませんが、英語やフランス語、あるいはアラビア語のメディアではかなり充実した情報が得られるようです(と推測の形になっているのは、私はアラビア語が読めないからですが)。実際、インターネットの普及によって、外国語を読める人の情報収集量は飛躍的に増加しました。これは、外国語が読める方であれば誰もが体感していることだと思います。

インターネットへのアクセスを持つ者と持たざる者の情報格差を「デジタル・ディヴァイド」といいますが、実際には、同じインターネットへのアクセスを持っていても、外国語を読める者と読めない者の間にはかなりの情報格差が生じています。このような状況においては、外国語を読めることはたいへんなメリットになるといえます。

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