ジャーナリスト

世界情勢に関する限り、日本の新聞や雑誌の記事というのはかなり情報ソースとして貧弱です。これには二つの理由があります。

第一に、編集上の理由です。新聞や雑誌には紙幅の制限があります。このため、新聞社や雑誌社においては、デスクと呼ばれる人々が、どのニュースをどこに配置するかを決めています。そして、この配置は、読者の興味関心によって決まります。つまり、多くの読者の興味を惹くニュースには多くの紙面を割き、そうでないニュースについては、まったく扱わないか、扱ってもごく小さな記事程度の扱いになります。この結果、どうしても国内ニュースに割かれる紙幅が多くなりますので、国際的なニュースに割かれる紙幅は相対的に少なくなります。このため、そもそも世界情勢に関するニュースの絶対量自体が少なくなります。

第二に、ソース上の理由です。実は、新聞社や雑誌社といっても、海外においては、国内のように十分な取材拠点を有しているわけではありません。したがって、国際ニュースに関しては、独自取材はほとんど無理であり、したがって、通信社と呼ばれるニュース配給会社からニュースを買って掲載することになります。このような通信社依存体質のため、国内の新聞・雑誌の国際ニュース記事は、どれも似たり寄ったりの記事になります。独自取材をせずに同じ情報源から仕入れているのだから、当然の話です。

したがって、世界情勢に関する限り、日本語の情報源はきわめて薄っぺらで貧弱なものであるといえます。こういう条件の下では、外国語の情報が読めるというのは非常な効力を発揮します。例えば、フランス情勢について詳しくなりたければ、フランス語の新聞や雑誌を片っ端から読んでいけばよいのです。そこには、独自取材に基づいた記事が満載されており、通信社からのニュースの焼き直しに過ぎない日本語の情報だけを読んでいては絶対に出てこないような、新たな知見を得ることができます。

このような方法によって、ジャーナリストとして大成することができます。例えば、田中ニュースの田中宇さんはその代表例でしょう。田中さんは主に英語の新聞や雑誌を大量に読むことにより、日本の新聞や雑誌からは得ることのできない独自の視点から国際情勢を解説し、独立したフリージャーナリストとしての不動の地位を築いています。

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